CALM条例に基ずくCM音量規制(連邦規制基準の改正)

CALM条例とは

米国では、2010年12月15日にCALM条例(Commercial Advertisement Loudness Mitigation Act, Public Law 111-311)が決まり、連邦通信委員会(FCC)は1年後の2011年12月15日までにCM音量規制の細則作成を命じられました。
「CALM条例=CM音量規制の条例」と思いがちですが、CALM条例は「FCCに対してCMの音量規制規則を作ることを命じた条例」と言えます。 実際、CALM条例に細かな規定はなく、FCCが作成する規則への要求項目(基準とすべき規定、適用開始時期、適用範囲など)が書かれているだけです。 CALM条例の本文は1ページ弱で、4つの要求項目が記載されています。

  • 商業広告の送信に関係する、テレビ放送局、ケーブルTV事業者、多チャンネルビデオ番組販売業者を対象とした、ATSC A/85に基づいた音量規制。
  • 新規則が施行されてから1年の準備期間を設けることと、規則適用の免除に関して。
  • 各放送事業者に対する、新規則に準拠した設備更新について。
  • 関連する通信法


CALM条例 表紙の一部




連邦通信委員会(FCC)のCM音量規制(連邦規制基準 Title47 の改正)

連邦通信委員会(FCC)は、2011年12月13日にCALM条例に基づいたCM音量規制に関する“Report and Order”を発表しました。62ページに及ぶR&Oには、CM音量規制策定の経緯と規制内容(Final Rules)が記述されています。 Final Rulesには「連邦規制基準タイトル47」の改正内容が書かれており、このR&Oの発行を以て“CM音量規制”の施行となっています。実際の適用には1年間の猶予があり、2012年12月13日からCM音量規制が実施されることになっています。

今回のFCCによる「連邦規制基準タイトル47」の改正は、①テレビ放送局に適用するもの②ケーブルTV及び多チャンネルビデオ番組販売業者に適用するもの、に分かれています。主な改正点は以下のようになります。
①テレビ放送局関係:
“Title47-Part73-Radio Broadcast Services, Subpart-E-Television Broadcast Stations, Section 73.682-TV transmission standards”
に、
“(e) Transmission of commercial advertisements by television broadcast station”
として細則を追加。
②ケーブルTV及び多チャンネルビデオ販売関係:
“Title47-Part76-Multichannel Video and Cable Television Service, Subpart-K”
に、
“Section 76.607 Transmission of commercial advertisements”
として細則を追加。

音量規制の要点をまとめると以下のようになります。

  • 今回の改正はデジタル放送のみに適用され、アナログ放送は適用外としています。
  • 放送局、ケーブルTV(CATV)、多チャンネルビデオ番組販売業者(MVPD)に対して、1年の準備期間後、2012年12月13日から適用されます。ただし、それまでに設備投資が困難な弱小放送事業者については、更に1年の期間延長を与える場合があります。
  • 2012年12月13日から放送局・CATV・MVPDは、送信するCMの音量に関してATSC A/85 RPに従わなければなりません(ラウドネスの測定方法はITU-R BS.1770準拠)。
  • CMはラウドネス値が規定内であることが証明されている“certified programming”とラウドネス値が証明されていない“non-certified programming”に分けられ、“non-certified programming” は毎年1回のラウドネス値チェック(スポットチェック)が義務付けられています。スポットチェックの方法は放送事業者の規模により異なります。
  •  a) 2011年12月31日時点で、年間売上1400万ドル以上の放送局、あるいは加入者が1000万人以上のCATV及びMVPDは、毎年1回連続した24時間における“non-certified programming”について、100%のスポットチェック実施が義務付けられています。
     b) 2011年12月31日時点で、加入者が40万人~1000万人未満のCATV及びMVPDに関しては、毎年1回連続した24時間における“non-certified programming”について、ランダムに選択した50%のスポットチェックが義務付けられています。
     c) 2011年12月31日時点で、年間売上が1400万ドル以下の放送局、あるいは加入者が40万人未満のCATV及びMVPDに関しては、毎年1回の連続した24時間のスポットチェックは免除されますが、苦情があればラウドネス値をチェックすることが義務付けられています。
  • これらCMのスポットチェックは2013年12月13日までに最初の1回を実施する必要があります。また、放送事業者がスポットチェックを実施する時は、それを他の放送事業者に対して知らせることを禁じています。
  • 毎年行うスポットチェックで、2年間連続してATSC A/85 RPに違反する証拠が見つけられなかったプログラムストリーム(program stream;CMの送出ストリームのこと?)は、それ以降のスポットチェックは不要となります。
  • CMのラウドネス管理には二つの方法があります。AC-3オーディオコーディックによるデジタル放送の場合は、“dialnorm”メタデータを使用して-24LKFS±2dB(A/85 RP Annex Jを適用)に管理します。AC-3以外のオーディオコーディックによるデジタル放送では、全体音量で-24LKFS±2dB(A/85 RP Annex Kを適用)に管理します。
  • CMのラウドネス値が規定内であることを証明する認証システム(safe harbor)を構築し、ここに登録されているCMは規定を満たしていると判断され、スポットチェックの対象となりません。認証システムはどのような放送局・CATV・MVPDでも利用できます。(全米CATV協会がシステムの構築を行う予定とのこと)
  • 番組内に組み込まれたCM(Embedded commercials)については、送信側(キー局)でCMのラウドネス値を保障する必要があります。
  • 苦情があった場合、放送事業者は30日以内にスポットチェック、あるいは指定された別の方法でCMのチェックを行い、報告しなければなりません。


FCC Report & Order 表紙の一部